番外編(その5)

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Ferrariも1967年にその主力モデルとして 365 GTB Daytona を出したが、その年には農耕機メーカーから一躍Ferrariの競争相手として登場した Lamborghiniがあの Miuraを登場させた年でもある。あのMiuraの先進的なスタイル、なによりV12エンジンをミッドシップに横置きに置いた仕様に世界は驚いたものだ。Ferrariも例外では無く世のレーシングカーが全てミッドシップに移行した事もありMR仕様の車を出す必要もあった。

FerrariにもMR仕様の車は1960年代後期には存在した。Enzoの息子のAlfredo “Dino” FerrariがデザインしたV6エンジンを搭載し、Dinoの死後その名を冠した2リッターの206、2.4リッターの246、共にMR仕様だった。その時代Ferrariの名は12気筒エンジン搭載車のみに与えられV6搭載の当時先進的なこの車にはFerrariの名は与えられず単にDinoと呼ばれた。

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246 Dinoで2.4リッターV6エンジンをミッドシップに横置きに搭載している。

その後も12気筒のMR車は登場せず1970年代中ごろにV8エンジンを搭載した308が登場した。Fuel Injection Typeの308i、4バルブ化した308 Quatro Valve、2リッターの小さいエンジン搭載の208、3.2リッターにエンジンを拡大した328等のバリエーションを加え1980年代後半までの息の長いモデルとなった。Pininfarinaデザインの美しいボディーは隊員も含め今でもファンが多く、この時代までのFerrariが好きだという人は少なく無い。

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両方とも手前が328、後方が308。ボディーはほとんど同一。

1980年代も終わりになるとさすがに308系ではデザインが古くなり348というモデルに一新された。348は3.4リッターのV8エンジンを搭載し鳴り物入りで登場したがCar and Driver誌がホンダNSXとの比較テストでそのハンドリングを酷評したのは有名な話である。1994年には355というモデルにリプレイスされた。この355という車は1気筒あたり5バルブ、F1と同じPaddle Gear Shiftいわゆる半オートマ仕様もそのラインアップに加えられかなりエポックメーキングな車になった。

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右が348で左が355。デザイン的に非常に似通っているのが分かると思う。

2000年になると360が登場する。355が348のデザインをとしゅうしているのに比べPeninfarinaによりデザインを一新された360はFerrariとして初のシャシーを含めオールアルミ製ボディー、F1にて実践され更にストリート用に進化したElectrohydraulic式半オートマ6速トランスミッション等3.6リッターのV8エンジンを搭載している。Ferrariは代々ストリートモデルでありながらレースに出る事を目的とした特別モデルを提供し続けて来た。360も例外ではなく Challenge Stradaleというスペシャルバージョンが2004年に発表された。空理気的にリファインされ軽量化が図られたボディー、強化されたV8エンジン、レーシングバケットシート、窓もはめ込みで小さなスライディングの部分が開くというレーシング仕様となっている。このバージョンをベースに360は現在でも世界各所でのGTクラスのレースでの活躍が見られる。

2005年に360から430にバトンタッチされ現在も生産が続けられている。430はその外観は360の流れをくみ一部のエアロ的改良を除けば一見して違いが分からないほどだ。エンジンは4.3リッターに増強されE-Diffと呼ばれるコンピュータ制御のLSD等電子化も推進されている。430もPistaというレーシング仕様のモデルが2006年1月にロスアンジェルスのオートショーで発表された。

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後列左から246 Dino、308、328、前列左から430、360。

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左が360で右が430、外観は良く似ている。

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左が360、右が430。

次回は同じMRでも水平対向12気筒エンジンを搭載したBoxerモデルを紹介する。

 

 

コメント

  1. よしさま(*●。●*) より:

    YKKお師匠さま
    怒濤の3連発、ありがとうございます。

    Dino 246GTの造形は、素人の私にも素晴らしいものだと思います。
    飾っておくだけで、絵になるクルマですよね。
    整備するメカニックには、悪夢だそうですが。(笑
    一度は所有したいクルマです。
    でも、最近は、程度の良いものは天文学的な価格で、とても手が出ません。

    348以後のsamll MR-Ferrariには、食指が動かない私ですが、360以後のferrariは、随分、色んなところが改善され、普通に乗り回せるようになったそうで、これまで、殆どFerrariの市販車を意識して比較することの無かったPorsche AGが、360以後は比較車両に採用するようになり、驚きました。
    でも矢張り、あの維持費の高さとサイズには、ちょっと、引いてしまいます。
    それを気にしなくてすむような方が乗るべきクルマなんでしょうが。(^_^;)

  2. YKK より:

    よしさま、

    これからが佳境で後3発ありますので、お付き合いを。

    206/246は確かにあのサイズが手頃です。360/430なんかテスタロッサ並みに横幅ほぼ2mですものね。街中で見かけたりするとひときわ巨大に見えます。

  3. バスター より:

    よしさま、YKK師匠殿

    中国ではバスの横転事故とか色々あって、朝から社内のドライバーに、ちゃんと運転する前に「始業点検だろぉ!」とやっておりました。
    ところで、この手の車は、やっぱりある程度の大きさが必用ではないでしょうか?
    昔の話ですが、いすゞの「117クーペ」とか「ピアッツア」はジョルジョジュージアローが造形デザインした車と聞いていますが、
    「ピアッツア」がせめてCLクラスの大きさがあれば、見栄えが違ってきたのではないでしょうか?生産台数は減りますね。売れませんね。
    だからしょうがないですよね。だから、フェラーリが凄いんですよね。

    バスター(大きな車大好きオヤジ)

  4. YKK より:

    確かに、
    あのロープロファイルでごんぶっとい19インチのタイアをはくにはある程度の横幅が無いと、、、車の横半分がタイアになっちゃうかも

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