クリエ撤退報道は反撃ののろしか!?

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報告者:TJ

日本でクリエの新機種が発売されないことが正式にアナウンスされた。
香港に住む私にとっては、去年の海外撤退の方がより衝撃的であり、今回の発表にはなにも感じるところはなかった。
むしろ、こんな報道を、あえてする必要があったのだろうか?とさえ思った。
もしかするとこれは新しい反撃ののろしではないのか?ちょっとあり得ないかもしれないが、勝手な想像をしてみた。

日本ではショップのPDAコーナーはすっかり寂しい状態だと思うが、GSM圏では電話機能搭載PDAを筆頭にまだまだ新製品が発売され続けている。歴代PDAの中で私TJが、もっとも気に入っているXDA IIs、バスターが愛する最新のTreo650、HPやDellから発売されているVGA液晶搭載ポケットPCなど結構ある。日本との決定的な違いは、携帯機能搭載モデルの有無だ。

PCとPDA間でデータをシンクロさせるという機能が既に陳腐化し、そこら辺の携帯でも出来るようになったとき、PDAに新しい方向性を付与したのはハンドスプリングのジェフホーキンスだった。Treo180という電話機能を搭載したPDAをメッセンジャーとして発表することで、次世代のPDAを再定義した。それが正しい選択だったことは、その後Treo270, 600, 650が非常に高価なモデルだったにもかかわらず売れ続けたことで証明された。

クリエも状況は同様でPDAとしては陳腐化してしまった。ところが定義し直すわけではなく、エンターテイメント・クリエを継承した。しかしそれではiPodには勝てないのだ。なんといってもiPodはハードディスクを内蔵しエンターテイメントに特化しまくっているのだから。音楽も聴けます!では弱かったのだ。

ということで現時点でさえ、クリエを再定義するならば、やはり通信機能を内蔵したメッセンジャーかコミュニケータしかないはずである。

だが!ここで一つ大きな問題がある。

それはソニーエリクソンというグループ会社の存在である。ソニエリはGSM版のP900、P910といったスマートフォンを発売しているが、これに使われたOSはシンビアンである。ラインナップを変更、或いは追加してパームOS搭載のスマートフォンを作ることが出来るのだろうか?

これを考える前に、ソニーはパーム社をどう思っているのかを考えてみる。
クリエはいつもパームOSを独自に拡張していた。画面の高解像度化、ジョグダイアル、ランチャー、WiFiなど数え上げればきりがない。そこには自分たちの方がパームを引っ張るというくらいの意気込みを感じた。また、こんな開発速度では、マイクロソフトのポケットPCに追い越されてしまう!そんな切迫した思いが矢継ぎ早に発表される製品の背景にあったようにも思える。出井さんはパームを買い取り、ソニー社内に取り込みたかったと思う。そうすればもっと自由に開発できるのだから。でもそうできなかった今、パーム社にこれ以上、期待はしないだろう。

こうやって考えれば考えるほど、パームOSを搭載したクリエにはもう行き場がないことがはっきりしてくる。

だがしかし、その後にくるのはソニーとしての威信をかけたシンビアンOS搭載のスマートフォンだと信じたい。このために、クリエから撤退することを敢えて宣言しなければならなかったのだ!と思いたい今日この頃である。