野良無線LANの是非を問う!

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6月16日に、このBlogに書いた「Kensington のWiFi FInder は本当に使えるか?(kismet編)」は久しぶりにザウルスについて書いたということもあり、かなり多くの方にごらん頂いたようです。
昨日このBlogに対してある方から下記のようなコメントを頂きました。非常に考えさせられたということもあり、是非この件に関して、自分自身の考えをご説明し、かつ、オリジナルのコメントを頂いた方のみならず、多くの方のご意見を拝聴できればと考えています。
皆様から頂いたご意見に充分納得ができれば、自分自身の考えを改める必要があるとも考えています。
ここで念のために申し添えますが、わたしの真意はこの書き込みを頂いた方に反撃をすることではなく、現在のインターネットという世界におけるモラルを理解したいということです。

まず重複しますが、わたしの6月16日の書き込みを抜粋します。
———————————-以下わたしの書き込み————————————-
わたしは自宅のアクセスポイントにはWEPキーを設定していない。(出張先のホテルに持ち込む小型アクセスポイントも同様である。) 近所の誰かが使ってくれてもいいと思っているからである。だって自分が使っているブロードバンドがダウンしたときに、もしもそこに使えるアクセスポイントがあったら!こんないいことはないですよね。ブロードバンド互助会を作りたいと思う今日この頃でした。

更にいえば、マックユーザはランデブーでご近所の方とiTunesを共有するのもいいですよね。新たな近所づきあいが始まるかもしれません。
———————————-以上わたしの書き込み————————————-

これに対して頂いたコメント
————————————–以下頂いたコメント————————————-
自ら好き好んで野良無線LANスポットを開放するなんて信じられません。
貴方のご近所のことは知りませんが、世の中、足がつかないネット接続を求めている犯罪者はごまんといるでしょう。
そのアクセスポイントが、不正アクセスの踏み台として使われたとして、それも貴方の言う「新たな近所付き合い」ですか?
————————————–以上頂いたコメント————————————-

わたしは香港に住み始めて10年以上になります。かなり日本の常識が抜け落ちており、たまに(年に2-3回、合計で10日程度)日本に帰ると、戸惑うことがよくあります。もしかするとそんなわたしだから、日本においては、かなり非常識ととられることを書いたのかもしれないとも思っています。

コメントをして頂いた方は、名前がございませんでしたので、仮にAさんとさせて頂きます。(”信じられない”という投稿者になっていますが、これはご本人様がハンドル名として書いておられると思えませんので。)

さて、Aさんは「犯罪者がごまんといる」と書いておられますが、本当にそんなにうじゃうじゃいるのでしょうか?もちろん昨今の日本のニュースを見ていますと、ネット犯罪なんていう言葉があるくらいですから、犯罪者がいることも承知しています。しかしそれでもなお、たとえ100人の方が、わたしの野良無線LAN(非常にいい名前ですね、気に入りました。)をお使いになったとしても、犯罪者はその中の、ごく少数か、もしかすると一人もいないかもしれません。
でも可能性を考えれば絶対に0(ゼロ)ではないでしょう。そのほんのわずかな可能性が理由で、99人の便益が妨げられるということが、いいことだとは思えないのです。

更に、わたしの無線LANがセキュリティで守られており、踏み台に出来なかった場合には、犯罪者は何らかの行為をあきらめるのでしょうか?ただ単に次の踏み台を探すのではないかと思います。これを防ぐには、ホテルのロビーにある、認証不要の無線LANや、コーヒーショップの無線LANも同様にサービスを考え直す必要が出てくるように思います。

しかしこれは味気ないですよね?ほんのわずかな悪意をもった人を排除するために、多くの善意のユーザが利益を得ることが出来ない。そんな社会を成熟した良識をもった社会とはいえないでしょう?クルマの排気ガスは明らかに健康を害していますし、飛行機事故をなくすことは出来ません。それでもクルマは増え続け、飛行機は飛ぶことをやめません。それはひとえに便利さが損失を上回っているからだと思うのです。そういった便利なモノが持つ二面性と、我々は共存していかなければならないのです。共存するスキルを身につけることから逃げるわけにはいかないと思うのです。

今回の野良無線LANでいえば、そういう犯罪者を無くすことが問題の本質ですし、更にいえば、対象として狙われるウェブサイトなどがセキュリティのレベルを上げることがもう一つ大事なことだと思います。この一義的な問題を解決するスキルを多くの人が身につけることこそが、上述した、共存するということではないでしょうか。
それらをほおっておいて、アクセスの手段を提供した人間が問題視されるのは問題の本質から、すこしはずれた議論のように思います。

さてここで少し本題とは逸れてしまいますが、わたしの経験を述べさせていただきます。次の例も、どこか今回の問題と共通したところがあるように思うのです。

日本に帰ってまず戸惑うのは電車など公共の場所の静けさと、至る所にあるケータイの使用を制限するアナウンスや張り紙です。
昨年の年末、「はるか」という関西空港から大阪までの特急電車に4歳の息子と乗ったときのことです。子供がおもちゃで遊んでいる音がうるさかったのでしょう。車掌さんが申し訳なさそうにわたしのところにいらして、「他のお客様が眠れない、とおっしゃっていますので静かにして頂けますか」といわれました。確かに電車はしーんと静まりかえっていたので、話しているのはわたしと息子だけだったように覚えています。(でも決して叫んだりしたわけではありません。)
しかしこういったことは程度問題ではないかと思うのです。眠れなかった方に「眠る」という権利があるのと同様に、4歳の子供が「おもちゃで遊ぶ」という権利もあると思うのです。

ケータイ電話の使用に関しても、日本においては、電車で使用しないことがマナーと聞きます。しかしケータイ電話というのは、そもそも緊急のために持つ電話ではないのでしょうか?電車内ではオフし、公共の場でもオフするのであれば、安心して使えるのは、自分の家の中なんて馬鹿なことになりはしないでしょうか?

こういった状況の中で一番大事なのは、お互いが相手のことを思いやり、適度なバランス感覚をもって過ごすということだと思います。ケータイ電話で長々と大声で話すことを、許しなさいといっているわけではなく、ケータイを使う人は周りに人がいることを考慮し、周りにいる人はきっと緊急の電話なんだからしかたないなと思うくらいの心の余裕が欲しいと思うのです。

マナーというのは他の人を気遣うという優しい気持ちから発展してきた習慣ですよね?そのマナーを破った途端、その人が悪者にされ攻撃されるというのは、そもそものマナーの発端である、優しさとはかけ離れた行動だと思うのです。

まとまりのない文章ですが、お読み頂き、皆様のお考えを頂ければ幸いです。

TJ

コメント

  1. がくじ より:

    がくじ@天津と申します。
    TJさんのAP野良無線LANについては、TJさんのAPでTJさんの回線だから、TJさんの自由にすれば良い!ハイ、おしまい。
    私もアパートでAP(笑わないでくださいねMelco製です)をWEPなしMAC制限なしANYアクセスいらっしゃい設定です。
    24階建てのアパートですが、中国・韓国・日本・欧米人の順で多くの住民が住んでおります。
    たまぁーに、DHCPを取得していく人がいるのですが、それなら「互助精神」で許すのですが、たまーにまだBlaster対策して無い人とかいるんですよ、その人には「最恵互助待遇」でNet Send コマンドでメッセージを送ります「You are Infectec Some Computer Virus!」と送ります(文法はチェックしないでくださいね)。
    私も34歳ですが、10年以上前からFreeBSD,LinuxなどOpenSourceの世界にはかなりお世話になり、AnonymousなThe Internetという素晴らしい互助精神の世界にお世話になってきております、「所詮、パソコン、PDA」という精神です、パソコンが壊れたからって頭の知識は無くなりません。
    何を書いているのか分からなくなりましたが(最近日本語がちょっと・・・)、とにかく言いたいのはネットワークの世界は自己責任、人の事をとやかく非難する権利は誰にもないということです。
    それとTJさんの日本に帰国したときの違和感は同感です、我々海外在住者こそ、日本の良い点、悪い点を理解できるのでしょうね、やっぱり分かっている人間がその地(日本)の文化に合わせるのが良いのではないでしょうか?、香港文化、大陸文化、日本文化、郷に入れば郷に従いましょう。
    PS TJさんお子さん4歳なんですね、それも関空を利用ですか、私は6歳&2歳の二人の子供を泉北@大阪に残して単身です。

  2. たく より:

    野良無線LANについて賛否両論があると思いますが、私個人としてはあまり望ましいことではないと思います。
    犯罪に利用される恐れがあるというのもありますが、それよりも不特定の者に自分の所有するブリッジにアクセスを許すことによるパケットの盗聴をされる恐れがあるということです。
    実際数日前のヤフーニュースで社内ネットワークの盗聴(ブリッジを介しての)が取り上げてましたし。
    TJさんはSIをされているようなのでその点も考慮されているとおもいますが、ネットワークに疎い方がこのページを見て真似しようとする方も居ると思います。
    アクセスポイントの開放によるメリットだけでなくリスクについても触れていただけるとありがたいです。

  3. HL より:

    規制、規制、規制と押さえつけられることに慣れた日本人的な発想が多いですね。
    自由を得るということは自分自身に責任を持つということでしょう。
    なら、野良APで何か問題になる事態になったとき、その責任を取れるなら、野良APもいいんじゃないでしょうか。

  4. mutter away より:

    無線LANネットワークとは何か

    ブロードバンドにつながった無線LANのアクセスポイント(AP)は、たくさんの家庭に普及し続けています。APのアクセス範囲は、場合によっては半径数十メートルをカバーします。意図的かどうかは別にして、これらAPには、外部者のアクセスを制限していないものもた…

  5. 変川 より:

    私も東京で時々野良無線を利用させていただいておりますが、これはやはり過渡期、言葉を強くすると異常な事態だと感じております。

    例えば、公衆電話が市内通話無料で町中にあふれるような国があったとします。その国では、一人の人が非常に多くの人にいたずら電話をかけることが出来ます。

    業務でP2Pを推進する立場にあるのですが、たった一人の行動が、極端に多くの人々に影響を与えられるのが、ネットワークというサービスの良い面でも悪い面でも特徴だと思います。

    電話機は発信者通知以外は着信しない。車にはナンバーをつける。こういった発信者告知の仕組みを組み込んで初めて、認証なしの野良無線を気兼ね無く使えるのではないかと思います。

    uucpやfjの感覚ではない、日常生活としてのインターネットでは、なんてことはない権利と義務があるのではと感じております。

  6. 浜砂 より:

    先日、他人の無線LAN環境から勤務先のサーバに不正アクセスして捕まったという事件もありました。
    このような、「開放している人」と「利用している人」以外の第三者(不正アクセスされた人)に迷惑がかかるような状態では許される物では無いと私は考えます。
    # 不正アクセス以外にも色々と悪用する為の踏み台にはなりえるでしょう。
    これらの事を考えて(悪用の踏み台にされたとしても自分で責任を取る、接続機器の MAC アドレスログ等を取っておく)等まで考えておられるのならば、それこそ「個人の自由」でしょう。
    # 飲食店やホテル等はそれらのリスクも考えて導入しているでしょうし、
    # 店内からの犯罪行為を考慮して防犯カメラ等も設置しているわけですから。

    ちなみに、電車等の室内での携帯電話も「不快に思う人がいる」時点で NG だと考えます。
    たしかに携帯電話は緊急連絡という側面もあるでしょうけど、次の駅で降りてそのホームで折り返し電話する程度(数分から長くても十数分)を待てない程の緊急な事は無いでしょう。

  7. Bob より:

    どちらかというと、iTunes共有の記述に懸念を表するものです。「野良無線LAN」は(電波の到達範囲という物理的制約があったとしても)不特定多数へのストリーミングに相当するのではないでしょうか。

    —アップル、iTunesでの音楽ファイル共有に制限
    http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000047715,20054712,00.htm “Appleは、iTunesの新機能を、見ず知らずの他人との音楽ファイル交換に利用したユーザーの行動に「落胆した」と述べている。”

  8. 8080 より:

    1)無線LAN APの公共性
    APでの制限を行っている場合、それは個人の管理下にあるプライベートな資産と言えるでしょう。
    また、制限を行わず、無制限にアクセスを許可した場合、それはパブリックな場にある、共有資産になりますね。

    個人資産であるならば、何をしても自由だと思いますが、パブリックな資産である以上、その管理者には一定の責任が発生すると思います。

    長文失礼しました。
    つまり、管理者として、悪意のあるユーザーや、犯罪行為を、できる限り抑止する責任があるということです。
    もちろん、倫理的に、ですけど。

    2)メーカーの売り方について
    問題は、アクセス制限をしない、という選択を意識せずに行ってしまうユーザがいるということです。

    これはメーカの売り方にも問題があって、「かんたん接続」などという惹句で、あきらかに錬度の低いユーザに向けて販売しているにも関わらず、初期状態で制限なし(そのほうが「かんたんに」接続できますから)の状態で販売しているわけです。

    セキュリティ面から言えば、完全にブロックした状態にしておいて、必要な範囲で許可するという設定にしておくべきでしょう。(マニュアルなんて読まないユーザは、山ほどいますから、「マニュアルに謳ってる」という言い訳はNGです)

    3)野良APを使うか
    「公開AP」と「野良AP」を分けて考えるべきでしょう。
    2)のような事情で、心ならず公開されてしまっているAPが存在することを考えれば、意図的に公開されていることが明らかなAPでなければ、使うべきではないと思います。言ってみれば、公衆電話を使うのと、玄関に「ご自由に」と張り紙してある家の電話を使うのと、たまたま鍵をかけ忘れた家に上がりこんで電話を使うのと、どこまでが許されるかってことです。

    4)で、どうするか
    解決策は単純で、だれでも公開APを立てられる(使える)ようなオープンな仕組みを作ればいいんだと思います。
    公開APが便利で有益なことはわかっているのですから、誰でも、(できるだけ)安全に、(できるだけ)簡単に公開APが作れるようにすれば良いわけです。(技術的にはものすごく難しそうですが)

    日本人が最も苦手とすることがこの辺りで、仕組みを作るよりは禁止するほうがラクだし安心なので、禁止を選んでしまう傾向があります。
    禁止されても便利なものは使いたいので、そこに悪のビジネスチャンスが発生します。

  9. TJ より:

    8080さま
    コメントありがとうございます。
    非常にわかりやすく胸にスッと入ってきました。
    私も8080さんのお考えそのとおりと思います。
    4項にありますオープンな仕組みに関しては、ある会社が個人の無線LANを組織化して安価(提供している人は無料だったと思います)に巨大な無線ローミングシステムを作ろうとしている報道を目にしました。是非うまくいってほしいですね。
    あとは、それぞれの個人にブロードバンドを提供しているISPがそういった動きに反対しないか?ということでしょうか。ISPにしてみれば、契約者以外が勝手に帯域を使っているということになりますからね。

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