Palm Foleo はWindowsOSを駆逐する!?

報告者:TJ

3泊4日でセブに出張。
さて電脳関連の装備はどうするか?
3泊4日といいながら仕事は2日間だけである。その後、折角のリゾートなので日曜まで延泊することにしたこともあり、それほど忙しい旅ではない。

こうなるとMacbookProというフル装備はちょっとヘビーだ。
セブ事務所にはWiFiが設置されている。宿泊するホテルではロビーも各部屋もWiFiがカバーしている。現在のメイン携帯であるNokia E61 だけで行けないか?とE61だけでやりとりする姿を想像してみる。
最悪現地スタッフのPCもあるわけだし、何とかなりそうだと思う。

がしかし、やはり思い切れず、結局はFujitsuのタブレットを持って行くことにした。

多くのモバイラーが出かけるときの電脳装備について悩んでいるのでいると思う。
例えばちょっと昼食に出かける、日帰りの出張、1泊2日の出張、1週間を越えるような長期出張、等々、様々な状況に於いて装備をどうするのかは頭痛の種だ。結局は考え得る状況を越えるレベルの装備をしてしまい、重い荷物を持って行き、多くのガラクタがのしかかって肩に食い込むショルダーストラップを呪うことになる。

しかし今回、E61だけで行こうかと一瞬でも考えたのには我ながら驚く変化だ。
Exchangeサーバーを使ったPushMailを使い始めて以降、確実に携帯セントリックになっていくのを感じている。
PushMail以前は、PCでメールの着信を知り、返信するという流れだった。これがPushMailを使い始めると、PCよりも先に携帯(スマートフォン)がメール着信を知らせるわけで、当然、携帯が主役になってくる。
いまでは、携帯メールは外出時のみという位置付けだったことを懐かしく感じるほどである。
これが習慣化すると、簡単な返信は携帯ですませるようになるのは必然であり、携帯(スマートフォン)のみで完結出来る仕事が思った以上にあることに気付かされる。

さてここでPalmが発表したFoleoだ。
 Media 2007 05 Palm-Foleo-440

携帯セントリックな私にとって、Foleoは非常に魅力的なデバイスである。携帯で返信するにはちょっとヘビーなメール、添付されたエクセルを確認する必要があるとき etc… あとチョットという状況をうまい具合に掬い取ってくれるように思える。
このFoleoというデバイスにとって一番大事なのはいかにスマートフォンと簡単にシンクロできるかだろう。ここはPalmならばうまくやると信じている。
次に大事なのはデバイスの値段、起動の速さ、重量だと思う。PCよりも遙かに安価に入手でき、瞬時に起動することで思考を中断しない、そして軽くて持ち運びやすい。

このあたりはジェフ・ホーキンズがPilotを設計する際にクリアすべき条件としてあげていた次の4点を思い出す。
   (1)ワイシャツのポケットに入る
   (2)パソコンとのリンクが簡単
   (3)ライバルは紙と鉛筆だから手軽さとスピードが肝心
   (4)値段は299ドル以下。

さて私のセブ出張に当てはめてみれば、間違いなくTreo750v とFoleoの組み合わせで決まりだったと思う。
ジェフ・ホーキンズはこういったところをカバーするデバイスとしてFoleoを考えたのかな・・・なるほど!! ・・と納得しようとしたが、以下のジェフ・ホーキンズへのインタビュー記事を読むと単純にそうではなく、もっと深い戦略があるはずだと考え直した。

ジェフ・ホーキンズ氏の生涯最高のアイデア
以下抜粋

——取り組んでいると発表したのは、「三番目の子ども」になりますか?

 そうです。実際、これは一番大きい子どもになると思います。製品設計の中でやろうとすることの1つに、「カテゴリーを絞った製品」を作るということがあります。最初の製品を象徴的なものにすること、これは本当に難しいことです。われわれは、明らかにPilotでそれに成功し、Treoは若干それを下回りました。なぜなら、その時はRIMなどの他の製品があったからです。

 これは、全く新しいカテゴリーの商品です。わたしはこれまでのわたしのアイデアの中で最高のものだと思います。進みすぎていればそれだけ、人には理解してもらいにくいものです。時間を遡ることはできませんが、われわれがPilotを世に出したときには、これは馬鹿げたアイデアだと考える人が多くいました。本当に。

Palmを発明し、これほどまでにスマートフォンを普及させた立役者が「生涯最高のアイデア」と言い切ってる・・・つまりそんな単純なことではないはずだ。しかもFoleoは、PalmPilot 、Treoに続く3番目の子供だが、”これが一番大きい子どもになる”、”Palm社にとってPDA事業、スマートフォン事業に続く3番目の事業になる”ともいっている。

この本文を読むとジェフが制約やルールに縛られることを嫌っていることがよくわかる。制約のひとつがWindows Mobileであり、もう一つが携帯キャリアだ。彼らと仕事をすることで受ける制約で自分のデバイスが制限を受けることが許せないのだろう。
この状況は、Pilotが産まれたときにそっくりだ。まだ有名になる前にシャープの電子辞書用のアプリを書いたり、HP社のLX用のシンクロアプリを書いたり、そのどれもがハードの制約を受けることに嫌気がさして、自分たちの考えるハードを作ろうとした。それが初代のPilotである。
(#このあたりのことは書籍「シンプリー・パーム」で知った)

ということは、ジェフが思い描いているのは、このFoleoというLinuxベースの端末を使って、Pilotが起こしたようなムーブメントをもう一度起こそう!つまりそれは、Windowsマーケットを浸食するということではないか?そう感じている。

我々の周りにLinuxは確実に押し寄せてきている。しかしあくまでサーバーレベルである。
もちろん物好きな人たちはRedhat Fedora やUbuntu をデスクトップとして使っている。私の事務所にもそんなスタッフが何人もいる。Windowsでなければ走らないアプリはWindowsを使うけど、それ以外はUbuntuでやる方がクールだし、なんといってもタダだ!そんな感じだ。要するにLinuxはあくまでWindowsのサブセット或いは代替OSなのだ。
例えばLinuxユーザーは「無料版Officeだってあるよ!」という。でも実際に使い始めると「あくまでMS Office 互換なのでレイアウトは崩れるんだ。」というようなマイナス面を体験する羽目になり、最終的には「やっぱつかえないね」となっていく。これがデスクトップ版Linuxの現状だ。

じゃあFoleoは?
これは、まずはスマートフォンの機能を拡張するデバイスとしてデビューする。もっと楽にメールが書けますよ、エクセル表もPCと変わらないくらいの大きさで表示可能です・・という感じだろう。
これで私のような物好きなマニアを引き込むと、マニアの多くが「あれ?Foleoだけで仕事のほとんどが片付くな」と気付きはじめる。
そこまでいけば Linuxベースということで、ユーザーが便利なプログラムを作ってシェアしだす。初代Pilotが巻き起こした大ブームの二匹目のドジョウだ。

ここで大事なのはFoleoは何かのサブセットではなく、むしろスマートフォンを拡張するデバイスだという点だ。
サブセットというのはどこかを犠牲にしあきらめるというマイナスデバイスだ。しかしFoleoはスマートフォンを補い使いやすくするプラスデバイスだ。だからこそユーザーにアピールする。
同じLinuxというOSを使っても既存製品のサブセットではないというところがミソである。「メールの読み書きが楽になることしか期待していなかったのに、オフィス互換アプリって結構使えるじゃない!?」とか「このあいだネットで見つけたこのアプリ便利だよ〜」といったプラス方向に流れていくのだ。

この流れが、最終的にはこれまでどうしてもメジャーになれなかったLinuxというOSが一般ユーザーにも普通に使われるようになっていく・・・そのときWindows OSのシェアは・・・ジェフ・ホーキンズはそれを企んでいるのでは?と考えてしまうのだ。

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参考
コモディティ化するPDAに対してコミュニケータを定義したTreo600

コメント

  1. bobby より:

    生涯最大の「思い込み」でない事を祈っています。

  2. TJ より:

    うっ・・・確かにその可能性は捨てきれず・・・

  3. 現時点のパソコンで気に入らない所はたくさんありますが、一番困るのは起動とシャットダウンに時間がかかるという事です。普段机の上で使っている時にはそれほど感じませんが、車の中でVAIO Type UXのスイッチを入れて、起動するまでの時間が結構長く感じます。更に、HSDPAモデムのユーテリティを起動して、SlingBoxを起動したり、マップキングを起動するにも時間がかかります。そういう点でいつでも常時動いているポケットPCの方が使いやすいと思うのは僕だけではないと思います。

    ちょっと期待しちゃいますね。

    バスター

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